一体型PCであるiMac Proは本当にコスパが悪いのか?似た自作マシンで試算して検証してみた
この記事はiMac Proが発売するどころか詳細が発表される以前に書かれたものです. 現在参照するのには適していません.
iMac Proはコスパが悪いか?
iMac Pro - Apple(日本)が発表されましたね.
私はGentoo GNU/Linuxユーザで, ラップトップはDellを使用して, デスクトップは組み立てる人です. MacはGNU/Linux向けのドライバが中々提供されないため基本的に使いません.
しかし, 学校などのコミュニティでMacユーザの手助けなどをしなければいけないため, Macの動向はきちんとチェックしておく必要があります.
だから発表されたマシンを見ていたのですが, iMac Proには驚かされました. まさかMac Proを放置して, プロ向けの高級マシンを一体型で出してくるとは思いませんでした.
一体型には様々な問題がありますが, 一番の問題点はコスパが悪いということです.
しかし, はてなブックマークのコメントを見ていると, めちゃくちゃ安いという主張が行われていました.
iMac Pro - Apple(日本)
このスペックで、4999ドルか。めちゃくちゃ安いな。厳密に同じスペックじゃないけどWindowsで組んだら70万から100万コース。↑SLIの方がリーズナブルとかいってるやつ正気か?その安い高速マシン買うから作ってくれ。
2017/06/06 13:12
このコメントで, 実際にコスパが悪いか, 私はわからなくなってしまいました. このモヤモヤを解消するために, 実際に自作PCで似た構成を考えてみて, 計算してみることにしました.
ちょうど,
stack build
の高速化のために,
自作PCをリプレースするために,
メモを書こうと思っていたので,
丁度良いタイミングです.
そして今,
stack build
待ちでブログを書くことぐらいしか出来ません.
試算はかなりいい加減です. 間違った情報が確実に含まれています. はてなブックマークやTwitterなどでのツッコミをお待ちしております.
自作PCによるiMac Pro再現の仕様
iMac Proの仕様を自作PCのパーツに変換するために, 制限を定めておきます.
発売前の製品(2017年12月発売予定)であることや, そもそも一体型と分割型で厳密に再現することは不可能であることから, 雑な条件設定になってしまうのはお許しください.
価格が5000ドル≒55万円という情報しかなく, どのカスタマイズを選んだらどの価格になるのかわからなかったため, 5000ドルになるであろう一番スペックの低い選択をしておきます.
- ディスプレイ
- 27インチ, 5120 x 2880ピクセル
- プロセッサ
- 8コア
- メモリ
- 32GB 2666MHz DDR4 ECCメモリ
- ストレージ
- 1TB SSD
- グラフィックス
- Radeon Pro Vega 56グラフィックプロセッサ(8GB HBM2メモリ搭載)
- カメラ
- 1080p FaceTime HDカメラ
- 接続
- 10Gb Ethernet, USB 3ポート x 4, SDXCカードスロット(UHS‑IIに対応)
- 入力
- Magic Keyboard, Magic Mouse 2
- ワイヤレス
- 802.11ac, Bluetooth
- 同梱物
- Magic Mouse 2, Magic Keyboard, Lightning - USBケーブル
ディスプレイ
これはそのままズバリAppleストアで発売しているものがあります.
LG UltraFine 5K Display - Apple(日本) ¥144800
これはAppleストア限定販売で, LGから直接買うことは出来ないようですね. 27MD5KA-B | モニター | LGエレクトロニクス・ジャパン
何故LGは直接5Kディスプレイを売らないのでしょうか? AppleのThunderboltでしか5K画素の映像は送信できない状況だったので, Macユーザ以外に売っても意味がない, という判断でしょうか.
価格comでもスペック検索に5Kは設定できなかったので, 5Kディスプレイは比較するのが難しいです.
Dell デジタルハイエンドシリーズ UP2715K ウルトラHD 27インチ5Kモニタ | dell e-catalogは販売終了しているようですね.
Apple対抗で自作するのに, Appleのディスプレイを使うのは嫌だなあと思いますが, 仕方ないです.
プロセッサ
ただ8コアというだけなら,
価格.com - AMD FX-8320 BOX 価格比較 ¥14780
が満たしますが, 相手はXeonなのに, BulldozerではIPCに差がありすぎる気がします. Ryzenなら許容範囲内のブレでしょう.
価格.com - AMD Ryzen 7 1700 BOX 価格比較 ¥37635
Xeonってことは書いていますが, それ以外の詳細が不明なのでガバガバになります.
メモリ
DDR4-2666でECC対応の既存製品は価格.comでは見つかりませんでした.
価格.com - crucial CT2K16G4TFD824A SODIMM DDR4 PC4-19200 16GB 2枚組 ECC 価格比較 ¥38191
2400ですが, ここでは許容範囲のブレとします. ブレとさせてください.
ストレージ
iMac Proには最大3GB/sと書いていますが,
あくまで最大なので,
最小構成を対象に考えているので容量だけを合わせました.
Twitterで指摘を受けたので, iMac Proの容量と, Mac Proの速度を基準にすることにしました. Mac ProはPCIe接続のSSDを採用しているので, それに合わせます. 新型「Mac Pro」…速すぎ?!SSDの読み書き速度は900MB/s以上、4K動画編集もストレスフリー! | gori.me(ゴリミー)
グラフィックス
一番難しいところです. 搭載GPUはまだ発売されていませんから. R9 295X2が近いという情報がありましたが販売がされてないので価格が謎です.
AMDで合わせないとブレがCUDAとOpenCLなどが絡み意味不明になります.
しかしAMDでは11テラフロップスの単精度にならない.
もう意味がわからない. GTX1080Tiなら性能が足りないということはないだろう, 突っ込みます.
ここ一番ガバガバです, ツッコミどころ.
カメラ
ディスプレイに内蔵されています.
接続
10Gb Ethernetに対応するためにPICeで拡張します.
玄人志向 10GBase-Tイーサネットボード GBEX-PCIE - NTT-X Store ¥19860
ネットワークに繋ぐためだけに20000円かかる.
ディスプレイにThunderboltのポートが1つあるので, PCIeで2つ増やして3つでiMac Proに揃えます.
ワイヤレス
マザーボードを対応のものにするか, 拡張パーツを買うかですが, 分かれますが, パーツを考えるのが面倒なのでマザーボードに対応してもらいました.
価格.com - ASRock X370 Taichi 価格比較 ¥26270
据え置きマシンにwifiが必要な理由がわからない, bluetoothはドングルを持ってますが, 電波の安定性を求めるならUSB端子に差し込んだほうが良くないですか?
一体型PCであるiMac Proは本当にコスパが悪いのか?似た自作マシンで試算して検証してみた - ncaq
一戸建てなどで有線LANを物理的に引くのが困難な場所に置くときにWiFiないと困る/Apple税考えたら安めという感じ?
2017/06/07 17:58
同梱物
Apple純正であることが価値なので, これは普通に買うしかないですね.
Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS) - Apple(日本) ¥13800
PCケース
試算なので真剣に考えずに適当に選びました.
価格.com - IN WIN 303 IW-CF06 価格比較 ¥11480
今回問題になるのは価格なので, 微妙な機能差は考慮しません.
電源ユニット
850Wもあれば現代では十分でしょう, 差を許容出来そうな80PLUS認証 Platinumを選択.
自作PCの合計価格
その合計価格は
Prelude> 144800 + 37635 + 38191 + 45899 + 83700 + 19860 + 7538 + 26270 + 13800 + 8800 + 3200 + 11480 + 21300
462473
¥462473, およそ46万円となりました.
Alienware
自作だけではなく, メーカーのゲーミングPCを見てみましょう.
Alienware Area-51ゲーム用デスクトップ | Dell 日本
32GBのメインメモリを搭載した, ALIENWARE Area-51 スプレマシー VRはおよそ50万円でした(2017-06-07現在). モニタなどは当然搭載していませんので, 別途購入する必要があります.
総評
- iMac Pro 55万円
- 自作PC 46万円
- ALIENWARE Area-51(メインメモリ32GB) 50万円 + モニタ料金
そこまで安くならないこと, Alienwareが結構高いことを考えると, 「一体型のPCはコスパがすこぶる悪い」というのは私の思い込みであることが明らかになりました.
当初試算してみたところ30万ぐらいで収まっていたのですが, Twitterで「10Gb Ethernet忘れてるよ」などの指摘を受けて2万円するNICなどを追加してみたら, 自作PCでも結構なお値段になってしまって, iMac Pro妥当な値段じゃね?という結論になってしまいました. 私はiMac Pro高い! という記事が書きたかったのに!
しかし, Windowsで組んだら70万から100万コースというのは言い過ぎです. 一体型に限定するなら, そもそも自作できないので無理ですが.
やはり私はデスクトップPCは自作一択ですね, 合わせてもまだ低くなりますし, Wifiや10Gb Ethernetなどの不要な機能を削ればかなり安くなりますし, 一体型PCは他にも問題点があります.
一体型PCは価格以外にも,
- GPUだけ壊れたら全部取り替え
- モニタにドット抜けが発生したら全部取り替え
- 買い替えでサーバ用途に転用する時にせっかくのモニタが使われなくなる
- 地震が怖い
- 排熱が難しい
- どうやっても本体の位置を離せないのでうるさい
などの問題を抱えています.
5000兆GBメモリ欲しい
cc1: out of memory allocating 80178400 bytes after a total of 975826944 bytes
`gcc' failed in phase `C Compiler'. (Exit code: 1)
これはこの記事を書く口実であったstack build --jobs 1
待ちの結果です.
メインメモリを増やしたい…
今使ってるPCはDDR3なのでマザーボードレベルで変更しなければならないのです.